hatto

2025/11/10 16:17

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みなさん、ハンバートハンバートというアーティストをご存じでしょうか。

少し前に比べると、ご存じの方も多いかもしれません。
1ヶ月ほど前から始まった朝ドラ「ばけばけ」の主題歌を歌っているのがハンバートハンバート。男女2人のアーティストなんですが、ハンバートが主題歌に選ばれたと聞いたとき、いろんな感情が出てきました。その中でも一番しっくりきた言葉が、「感慨深い」でした。

「感慨深い」とは、ある出来事を心に深く感じて、感動やいろんな思いが入り混じった状態のことなんだそうです。

まさにその通りで、言葉にできないようないろんな感情が一度に押し寄せてきた気がしています。

タワレコでの出会い

はじめてハンバートハンバートを知ったのは、大学生の頃。よく通っていたタワレコの店頭にあった試聴機で聴いたのが最初です。

まず目に飛び込んできたのが、CDのジャケット。ものすごく可愛くてすぐ手に取りました。それは『11のみじかい話』というアルバムで、1曲目に入っていた「おなじ話」という曲が、はじめて聴いた曲です。

はじめて聴いたときは、癒やしと衝撃と哀愁が同時にやって来た感じ。
男女2人のハンバートハンバートが、会話するように歌う、物語を読んでいるかのような曲でした。曲自体もゆっくりと、本当に本を読み進めるように進んでいきました。

数十秒聴いただけで心をつかまれたんですが、途中で再生を止めました。
「これ、今全部聴きたくない。ちゃんと聴きたい」と思ったんです。
そのままCDを買って急いで家に帰ったことを、よく覚えています。

誰かのオススメでもなく、ランキングでもなく、完全に自分の感性だけで「これがすごく好き」と思えた曲、アーティスト。それがハンバートハンバートでした。迷いなく自信を持って「好き」と思えたことが、とても嬉しく、気持ちよかったです。

今思うと、自分の好きなものを自信を持って外に出せないことが多かった当時の私にとって、自分の感性に自信を持てた数少ない経験だったのかもしれません。

20年という時間

あれから20年が経ちました。

当時はライブにも足を運んでいたんですが、結婚して子供が生まれて、後半の10年はライブにも全然行っていません。それでも、生活のどこかにいつもハンバートハンバートはつかず離れずいた気がします。

たまに昔のアルバムを引っ張り出したり、配信で新曲を聴いてみたり。ずっとそばにあるわけではないけど、離れていくわけでもなく、暮らしの周りにずっと「いる」ような存在でした。猫がちょっと離れたところに佇んでいるような、視界の端の何処かには必ずいるような、そんな感じ。

先日、テレビの音楽番組にハンバートのお二人が出演されているのを見ました。久しぶりに姿を見て、20年の歳を重ねた2人の姿に、いろいろなことを思いました。

私自身も、20年前からは想像もつかないような今の生活があります。ハンバートの2人と重なり合うところなんて何ひとつないんですが、「20年という時間の長さ」だけは同じだなと思いました。

ハンバートハンバートが変わらず音楽を続けているように、私も自分の暮らしを続けてきました。同じだけの時間を重ねて、今ここにいます。

毎朝流れる音楽

そんなハンバートハンバートの音楽が今、日本中の朝に流れている。

嬉しいというよりも、この20年間続いてたんだなぁと。
20年前から今まで、ずっと絶え間なく続いてきたんだなって。

それがたぶん、この「感慨深い」という気持ちの正体なんだと思います。