hatto

2025/09/08 13:31

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▷小さな焙煎所との出会いと、その魅力

半年くらい前に、初めて行った小さなコーヒー焙煎所。
わが家は夫婦そろってコーヒーをよく飲む、というよりも、
夫がコーヒーを淹れるのが好きで、色々な豆を買ってきては、
丁寧にミルで挽いて淹れてくれるのを私は美味しくいただくだけだけど。
そんな私たちが出会ったのが、その小さな焙煎所でした。
 
そのお店は、焙煎したコーヒー豆だけを売っている、こぢんまりとした空間でした。店内でコーヒーを飲むスペースとかもなくて、敷地も小さめ。
お兄さんが一人で店に立っています。一見すると、とてもシンプルで飾り気のないお店に見えるのだけど、一度行くと、また行きたくなる魅力が詰まっていました。
 
私が魅力的だと感じたポイントは3つ。
 
まず1つ目は、お店のお兄さんの知識の豊富さ。
どんなジャンルでも、プロの方の専門的な話は、とても面白いですよね。
それが、大好きなコーヒーとなると、なおさら興味深くて、聞き入ってしまいます。
 
酸味、苦味、コクなどの味のことはもちろん、産地ごとの豆の特徴とか、
どの豆とどの豆の味が近いかという比較とか、自宅での美味しい淹れ方などなど、たくさん教えてもらいました。
 
2つ目は、子育て中の親にとって、ありがたい配慮があったこと。
店内には、簡単なおもちゃとちょっとしたお菓子が置いてありました。
子どもたちはそれに夢中になるので、親はその間にゆっくりと豆を選べる。
 
そして3つ目は、ちょっとした「仕掛け」の面白さです。
コーヒー豆を入れてくれる紙の袋に貼ってある銘柄のシールは、剥がしやすくなっていて、ノートに貼ると「自分だけのコーヒーノート」が作れるんです。ついつい全種類のコーヒーをコレクションしたくなるような、遊び心と工夫が凝らされていて、その仕掛けにまんまとハマってしまいました。

▷味を知る前から心を掴まれた理由

実際にこの焙煎所で買った豆で淹れたコーヒーは、もちろん期待を裏切らない、とてもおいしいものでした。でも、実はその味を知る前から、私はほとんど深く考えることなく「また来よう」と思っていました。
 
なんで、まだ味も確かめていない段階で、そんな風に思ったんだろう?
あとからじっくり考えてみて、その答えは、お店のお兄さんの「コーヒー愛の強さ」だと思いました。
 
コーヒーの専門的な知識はもちろん、子どもたちのためにおもちゃを用意するという優しい気遣い。剥がしやすいシールを使って、顧客体験を豊かにしようという細やかさ。
そういう全てが、お兄さん自身が心から愛しているコーヒーを、お客さんにも最大限に楽しんでもらいたい、という純粋で強い「コーヒー愛」から生まれているのだと感じました。
 
それだけの愛情と情熱を持って売られているコーヒー豆なら、どうせ買うならこのお店で買いたい。と思います。

モノを売るということ、心を届けるということ

このできごとは、私たちhattoが商品をつくって販売する立場として、深く心に留めておきたい大切な「姿勢」だなと思います。
 
売るもの自体が素晴らしいことはもちろん重要。
でも、それと同じくらい、もしかしたらそれ以上に、売っている人の思いや情熱、そしてお客様に対する細やかな配慮が、その商品の価値を何倍にも高めるのだ、と実感しました。